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香竹堂書林
偏屈読書案内


「こうちく」とは御杖の言葉で偏屈という意味。香竹堂書林の主人による偏屈読書案内。
読みたくなったら題名をクリックし、Amazon.co.jpで購入してください。

アレックス・カー
『美しき日本の残像』
朝日文庫
Kerr, Alex
『Lost Japan』
Lonely Planet
茂木仁史
『入門 日本の太鼓』
平凡社新書
 まるで「となりのトトロ」に出てくる風景のように宇陀の田園は美しくて、これは日本の宝だと私は思っている。地元の者は案外気付いていないかもしれないが・・・。開発・発展という名の破壊はしないでほしいと願っている。
 アレックス・カーのこの本は、われわれが気付かずに壊していく日本の美しさと精神性に気付かせてくれる。さらにその中で著者は、宇陀を日本に残る最も美しいところとして紹介している。
 開発から取り残され「遅れている」ことは、素晴らしい!私たちは宝の中に住んでいる。 
 左の「美しき日本の残像」の英訳版。著者のアレックス・カーは、まず日本語で書き、それを自分で英訳した。
 英語が分かる外国の友だちへのプレゼントにどうぞ。
 題名に「入門」とあるが、和太鼓のたたき方の教則本ではない。
 和太鼓の歴史は古いが、和太鼓音楽の歴史は新しい。太鼓に関する民俗と伝統音楽の中での太鼓を考察した上で、近年盛んになっている太鼓音楽の流れを見渡すことができる。
 日本の太鼓の概観が分かり、その魅力が十分に伝わる1冊。 
ミヒャエル・エンデ
『モモ』
岩波少年少女の本 37
宮本常一
『民俗学の旅』
講談社学術文庫
白川静
『常用字解』
平凡社
 「時は金なり(Time is money)」という言葉は灰色の男たちに時間を奪われてしまう元凶だ。
 モモは亀に連れられてマイスター・ホラの家へ行く。偶然にも桃太郎と浦島太郎を合成した話みたいだけど、そんなことはこの物語の本質とは何の関係もない。
 モモがホラの家で知った真実。それは「時間は暮らし・人生・命である。(Time is life.)」ということ。
 一人一人の「時間」には一瞬一瞬にそれぞれのえもいわれぬ花が咲いている。
 民俗学者・宮本常一がいなければ、現在の和太鼓の隆盛はないと言っていいかもしれない。
「佐渡と言う日本の片隅にいてもその芸能がすぐれたものであれば、正しく評価されるであろう。都会だからすぐれている、田舎だから劣るという概念を、こうした運動を通じて破ることができたらどんなに地方の多くの人々を勇気づけるであろう。」
という願いのもと、田耕氏に協力し、佐渡に鬼太鼓座が誕生するのである。
「地域社会に住む人たちが本当の自主性を回復し、自信を持って生きてゆくような社会を作ってもらいたい。地域社会の中にそういう芽を見つけたい。」これが宮本民俗学の本質であろう。
 常用漢字の成り立ちを解説した本書には、誰もが長い間信じて疑わなかった常識を覆す面白さが詰まっている。
 例えば、口という字が、「神への祈りの文である祝詞を入れる器の形『口(さい)』である」と解することによって、この字を含む多くの漢字の字形の意味を理解することができると言う説には、目から鱗が落ちる。
 質素で地味な装丁、全く無駄のない構成にぎっしり詰まった中味。
 そしてその表紙に大きくあしらわれた篆文体の「口(さい)」という文字は、この書が「神への祈りの文である祝詞」であるということを表しているのではないだろうか。オソレイリマシタ。
 
丸元淑生
『丸元淑生のシステム料理学』
文春文庫
 人生の早い時期にこの本と出会ったことはわたしにとって大変幸福なことであった。
 家庭料理を充実させるためにどのような仕組みを作り上げるかという実践手法に満たされた本書は、人は生きるために何を食べるべきか、食の本質とは何か、という哲学に貫かれている。
 そこから導き出される「人間が生きていくために必要な栄養素を円満に含んだ食べ物を美味しいと感じる味覚を育てよ」「素材の栄養素を最大に生かす手の込まない調理法をこそ愛情と考えよ」という目から鱗が落ちるメッセージは、本書の料理を実践し食べることによって正しいことが証明されるだろう。
 家庭を持つ時に、是非出会いたい1冊。


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